シリーズ完結作にして最も異色な存在感を放つ第3作。実際に賛否の分かれた意見をよく耳にするのも今作ではないだろうか。ガメラのヒロイックな活躍から離れたダーティな側面や、大勢の住民の犠牲者が出てしまう渋谷の地獄絵図にカタルシスを得るのは難しい。更にはイリスが誕生する過程を描いたジュブナイル映画のような趣も、多くの特撮映画ファンには求められていなかったかもしれない。
しかしシリーズを通して緻密に練り上げられた世界観や設定に対する一つの解は、より深く作品を考察する楽しさを見出すことができ、また絶望と希望が交錯したラストカットも詩的な美しさを伴う幕引きに映る。"平成ガメラ"と称される長編の結びとして、やはり愛さずにはいられない屈指の名作だ。
