sithmaro

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒のsithmaroのレビュー・感想・評価

3.8
平成ガメラシリーズ3作目。
そして完結編。

前2作ではガメラをヒロイックに扱っていた。
しかし今回はそこに被害者目線の物語を加え、新しい物語を展開してくれている。

冒頭の渋谷での戦闘シーンなんかを見ていると、戦闘に巻き込まれ、文字通り「ゴミのように殺されていく民衆」を描く一方でガメラに助けられる少年の姿も描かれている。
視点によって「神」にも「悪魔」にも見えるガメラの描写は、今作品の重要なファクターに思える。
それはガメラを憎むあまりに邪神イリスと繋がりを求めてしまった少女綾奈と、かつてガメラとの繋がりを持っていた浅黄との対比になっているようにも思える。

ガメラは地球を守護する存在であって、必ずしも人間の味方というわけではないことは前2作でも描かれていた。
しかし時に明確に人を守ったり、助けたりという描写もあるからこそヒロイックな存在である一方で、それがまた弱点でもあるかのように劇中で言われている。
そういう意味では一貫してヒーロー要素を失ってはいないガメラは、同時期の平成ゴジラシリーズとは違うということを認識させられる。

ガメラというコンテンツがそもそも、そこまで人気があるわけではないので埋もれがちではあるが、少なくとも平成ガメラ3部作に関しては「怪獣映画」「特撮ヒーロー」といった枠に収まらない傑作だと言っても過言ではない気がする。
sithmaro

sithmaro