クリストフォルー

遥か群衆を離れてのクリストフォルーのレビュー・感想・評価

遥か群衆を離れて(1967年製作の映画)
3.5
19世紀のイギリス、ヴィクトリア朝時代の繁栄という“世俗から離れて”、土着的で自然と不可分な世界で生きている、ジュリー・クリスティの演じる女農場主・バスシバ。美しさと気位の高さ、賢明さと女の弱さを併せ持った全人的な存在として描かれるヒロイン像は、ボグダノヴィッチの「デイジー・ミラー」やスカーレット・オハラ(「風と共に去りぬ」)を思い出す。彼女に振りまわされる(?)三人の男は、逆に、典型を戯画化した存在だ。
ダメ男の典型を演じるテレンス・スタンプは「世にも怪奇な物語」も想わせる怪演。誠実さが脆さに変わるピーター・フィンチと、率直だが本心は語らないアラン・ベイツは、映っていない時でも存在感が消えない。
こういう映画を観ると、自分が小さな世界に安住していることに気づかされる。
「ライアンの娘」や「プレイス・イン・ザ・ハート」が観たくなったよ。あと、キャリー・マリガンでのリメイク作品も。
クリストフォルー

クリストフォルー