三四郎

朧夜の女の三四郎のレビュー・感想・評価

朧夜の女(1936年製作の映画)
3.0
「嘘はいけないが、世の中には、ひとつぐらいついていても良い嘘があったっていいじゃないか」
おじさんはべらんめえ調でこの科白を言っていたが、心に響く科白だった。

まぁ悪い女じゃなかったのかもしれないけれど…、女から誘っておいて、躊躇する大学生を部屋にまで無理に入れて、妊娠しちゃって…、話の展開に古臭さを感じた。1936年の時点でも、このストーリーは少し古かったんじゃないかと思うが、東京下町の話だったら、納得できるというか…古臭くもないのかな?

甥っ子の為に全ての責任を負うおじさんが凄い!そしておばさんも凄い!もう凄いとしか言いようがない!これが江戸っ子の義理人情ってやつですか!自分がおじさんだったら、嘘はつけないし、奥さんに悪いと思って奥さんにだけは真実を言ってしまうだろうなぁ…。でもそれじゃ意味がないんだよね。どんなに口の固い奥さんだったとしてもひょんなことから口を滑らせちゃうこともあるだろうし、親戚が色々複雑な関係になっちゃうもんね…。おじさんと甥っ子の二人だけの秘密だから、丸く収まるんだよね…。しかし、それだと、おばさんが可哀想。

最後は…哀しいが、これで良かったのだろう。しかし、この映画の中で、おばさんにはやはり真実を言わず、甥っ子にも心に閉まっておけと言う。もう真実を言ってしまったって良いじゃないか!と思ってしまうのは、まだ自分が若造だからかしら。
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