ヤマタノオロチ

フルメタル・ジャケットのヤマタノオロチのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.5

存命中だったスタンリー・キューブリックからの最後の贈り物
※「アイズ ワイド シャット」は他界後の作品となり、当該作品が存命中最後の作品となります


低予算映画と呼ばれる部類としては最高クラスの作品です。
CGや合成を一切使わないので全てがリアル。本物の戦闘ヘリは使うし、冒頭の散髪シーンもフケが出てるので恐らくウィッグではないでしょう。
人の血も演技も、良くも悪くも生々しい。観る側に対して限りなく現実に近い物を見せつけてくる、キューブリック監督のこだわりが垣間見えます。演技指導として呼ばれていたR・リー・アーメイを急遽出演させたのその一貫でしょう。

こだわりは翻訳にも及び、日本語訳を確認する徹底ぶり。当初、戸田奈津子よる翻訳でしたがキューブリックがNGを出し、別の翻訳家に交代させられています。それもあって直訳に近い言葉も多く、少々意味不明でも逆にそれが心に響きます。その代わり放送コードに抵触するので地上波で流れることはまず無いでしょう

また、近年になってお蔵入りとなった吹替版がリリースされていますが、予告編を観るとお蔵入りとなった理由がなんとなく分かる気がします。
アーメイの演技に対して吹替声優の迫力が全然足りません。
どうしても吹替でないと見れない人でしたら、購入するのも有りかもしれません。
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