MinaMi

フルメタル・ジャケットのMinaMiのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
3.9
【2018年9月9日に続き再鑑賞】
無駄を削ぎ落とす潔さ。ワンカットの長さ、台詞の簡潔さ、無音シーンの多さにも関わらず退屈させない。それどころか映画に引き込む効果を生み出している。
発する言葉も登場人物もそれ自体はただの映画の一部であり、ただ「映画」がそこにあるように感じる。

下記は初回感想
実にキューブリックらしい作品。画像の静けさに相応しくない奇妙な音楽が狂気を感じさせ、計算され尽くしたカメラワークが数学的な美意識を醸し出す。
ベトナム戦争反対のメッセージ性は微塵も感じなかった。ただ軍隊の異常な洗脳により狂っていく人間の心理が客観的に描かれていて、「いくらきれいごとを並べても戦争ってこんなもんですよ」という突き放した表現が残酷ながらも洗練されている。
まさに匠の技というべき。
前半のギャグのようなスパルタ指導と後半の死の間際に祈る少女が【低俗なもの】と【聖なるもの】の対比のようで凄まじかった。
ミッキーやスヌーピーが象徴するアメリカ人の幼さを皮肉っているところは可笑しかった。

・脚本 7/10
・演技 7/10
・演出 9/10
・音楽 8/10
総合点 31/40
MinaMi

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