出口の見えない説教ほど厄介なものはない
アメトーク、プロデューサーの加地倫三がアルピー平子を説教する姿はまるでハートマン軍曹のようだったというー。
訓練学校で始まる戦争映画。なにも役に立たないお前らはクソみたいなウジ虫だ!
映画開始から6分間ノンストップで続く説教。体感ではもっと長かった。なにが軍曹の気に触れるか分からない。何と答えれば許されるかはもっと分からない。
僕は学校で先生がキレ出すと、自分は悪くないのに申し訳なくなる様な小心者だ。先生の怒りが飛び火してくるんじゃないかと考えると恐ろしくてしょうがない。
そんな僕でも軍曹の説教ではずっと笑っていた。下ネタのオンパレード。本気で怒ってんのか疑うような面白さ。「最近、こんなノリの映画みたなー」と思ったらあれだ、デッドプール2だ。デッドプール2を超える酷いギャクを連射しまくってくる。訓練生達はギャクセンスと歌唱力を身に付けながら一人前の兵士になっていく。
苦しくも(端から見れば)熱くて面白い。
文句なしの名作。
そんな流れがある場面を区切りに変わっていく。
これは戦争映画なんだ。アスレチックで走り回るお兄さん達の物語ではなかった。キレキレのギャクも状況を考えれば全く笑うことが出来ない。あれだけ面白かったのに痛々しくてしょうがない。
思えば上官からのパワハラもそれを上回る理不尽(戦争)で気が狂わないようにする訓練なのかもしれない。戦場では小隊のリーダーが死んで若手にどんどんその役割が回される。トップが入れ替わって命令もコロコロ変わる。どの判断を下しても正解ではない。正解に遠い・近いはあるかもしれないがそもそも戦争が間違いだ。戦争をやめない限り進歩はない。僕はなんの後ろめたさもなく下ネタで笑いたいんだ。
戦争にあたかもエンタメ性があると思わせて、「そんな訳ないだろ、ウジ虫」と1時間かけて説教される映画。6分どころじゃなかった。