エリーン

フルメタル・ジャケットのエリーンのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.7
人間の心をリシェイプするシステムに興味があったのは、「時計仕掛けのオレンジ」からも明白で、軍隊という装置で心を変えられてゆくにはどのようなステップが必要なのかが、非常に緻密に描かれている。ハートマンとプライベートパイルの名演が凄い。パイルが殴られているなか加担してしまうプライベートジョーカーの心の揺れ動きや緊張感。静かに背後に波打つドラムの音、ところどころに場違いに現れるアメリカの象徴ミッキーマウス。born to kill に平和マークを身につけて、人間の二元性を表現するプライベートジョーカーこそ、キューブリックがアメリカに示したいメッセージだ。恐ろしい映画を作ったものだ。
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