櫻イミト

I SHOT ANDY WARHOL アンディ・ウォーホルを撃った女の櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.5
アンディ・ウォーホルを銃撃し世界で最も過激なフェミニストといわれたヴァレリー・ソラナスの伝記映画。「アメリカン・サイコ」(2000)のメアリー・ハロン監督デビュー作。

1968年、アンディ・ウォーホルが銃撃された。犯人は大学で心理学を学ぶレズビアンのヴァレリー(リリ・テイラー)。ラディカルなフェミニズム宣言“SCUM マニフェスト”(SCUM=人間のクズとSociety for Cutting Up Men=男性抹殺団のダブルミーニング )を唱え、ウォーホルのファクトリーに出入りしていた人物だった。。。

主人公に魅力は感じられないが同パターンの若者像と犯罪は現代にも繋がっているので興味深く観た。主演の演技も演出もリアルで、自分が今まで出会ってきた数人の顔を連想した。

ヴァレリーがファクトリーを訪ねた1966年には、ウォーホルのミューズだったイーディ・セジウィックも出入りしていた。ピンからキリまで多種多様な人間が集っていたことがわかる。共通しているのは一獲千金の夢に溺れて破滅に向かう未熟な若さ。生き残るのは利口な一部の人間のみ。

孤高なウォーホルと孤独なヴァレリーを並列で切り返すシーンが秀逸。二人の違いは何かを考えさせる。ヴァレリーは後に精神病院に入るが最初から狂っていたのかどうか。予備軍の若者は現代日本にも大勢いることだろう。
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