Melko

フェアリーテイルのMelkoのレビュー・感想・評価

フェアリーテイル(1997年製作の映画)
3.5
ホッコリと、心の奥が温かくなるような、ウソのようなホントの話。

ずっと見たかった、実話ベースの物語。
2人の少女が妖精さんと一緒に映った2枚の写真。専門家が鑑定してトリックなしと断定し、なんとコナンドイルが太鼓判を押す。カメラメーカーであるコダック社がトリックだと譲らなかったため、ドイルが週刊誌に掲載。少女たちの住む田舎コティングリーに、妖精を求めて人が大挙することに…

冒頭、ちょっと不穏な脱出マジックとピーターパンの劇から幕を開け、なんとものんびり、のほほんと進む物語。嫌な大人はいるけれど、基本的には少女たちの目線に立ち、とても穏やかな描かれ方。劇的なドラマがあるわけでもない。静かに、淡々と、事件と騒動と少女たちと家族の心情を俯瞰で捉えていく。「インチキだ!」と少女に直接言葉を浴びせかける大人も子どももいないのが、何とも優しい作り方。そして、心地の良いBGMとウルトラ目に優しい緑の森の色彩に癒される。

主人公エルシーと従姉妹のフランシスがかわいい。ハキハキしていて快活なフランシスもかわいいけど、途中から、のっぺりしたお顔立ちに独特の繊細さと切なさをたたえるエルシーから目が離せなくなる。
妖精のことが好きだった兄を肺炎で亡くし、母は心ここに在らずになり、幼いながらになんとなくそれを察しているエルシー。母を励ますために、妖精はホントにいるんだと、写真に残す。
人の縁に導かれ、母は妖精を信じたものの、父は頑なに妖精を信じようとしない。
「大人になりなさい」と言われる。
大人って、何なんだろう。

妖精を信じる会の担当者である若々しいビルナイ、
奇術師ハリーフーディーニを演じる…ハーヴェイカイテル!!
個人的推しオジの2人が、今まで見てきたどの役よりも優しいやさし〜い役を演じられてて、それだけでもう……。the悪人顔のこの2人は、実は子どもと一緒にいることで活きる人だったのか…。

妖精は「目に見えない」モノなのではなく、信じる人にしか見えないモノ。
信じていれば、いつか見えるかもしれないモノ。
「大人」とは、自分より他の人のことを思いやる人のこと。
秘密は、明かさなくたっていい。

クライマックスからラストの一連のシーン。
なんて温かみに満ちた光景だろうか。BGMが非常に良い仕事をしている。あぁ、ここだけ何回も見てられるな。
信じない人も、信じるかもしれない。
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