Melko

ナイルの娘のMelkoのレビュー・感想・評価

ナイルの娘(1987年製作の映画)
3.6
ゆるやかなナイルの流れ
そっと呼び覚ます
歳月に埋もれた記憶
千年目覚めぬ睡蓮

やっっとみれた「ナイルの娘」!
う〜ん、ジャケットから「ふたりの人魚」的なもっとファンタジーな話かなと思っていたら、誰がメインということのないフワッとした青春映画だった。
でも、そのフワッとした雰囲気こそが青春なのかも。
主人公シャオヤンは、10代後半〜20代前半?
夜間学校に通い、バイトをしてお金を貯め、時には恋をして、バイクや車に乗って、仲間と火を囲む。
友達との中身のない会話、女同士バチバチのケンカ
バイトの友人同士の恋模様、囃し立てる仲間たち
兄に対する信頼と心配、父に対する呆れと憐れみ、妹に対する苛立ちと愛情
そして、好きな人への憧れと、報われない切なさ、身勝手な彼の行く末

親から虐待を受けてるわけでもなく、経済的に困窮して身売りしているわけでもなく、働きながら勉強して、たまには友達と遊びに出かけて、裕福なわけでないが、どちらかというと気ままに生活できているシャオヤンだが、それ以上に周りが自由奔放すぎて、彼女の表情や生活には、どことなく常に閉塞感が漂う。

自由なのに自由じゃない。
どこに行きたいわけでもないけど、どこにも行けない。
働かないと食べていけない。
なのに、せっかく貯めたお金を根こそぎ男に奪い取られる辛さ。何それ、、
いくら面倒見のいい兄とは言え、
「今すぐ預金を全部下ろしてこい」と言われて「どうしたの?」との返事に「なんでもない」はないだろ、、何でもないわけないだろー!!

大好きな人と並走しながら、友達と走り抜けるハイウェイ。
夜風は気持ちいい。
でも、この日常は一体いつまで続くのだろう。
徴兵という、大人にならざるを得ない区切り。

私は知っている
学生時代の友人で、大人になっても交流が続くのは、一握り。片手で数えられる。
環境が変わると、人付き合いは変わる。
変わりたくなくても変わる。絶対に。

その時しかない青春の香ばしさ

ああエモいなと思いつつ、時折挟まるギャングの縄張り争いが余分に感じて、、特にシャオヤンの想い人サンがちょこまかとうっとうしい。
青春群像劇なのか、ギャングの切ない話なのか、どっちかにしてもよかった気がする。
雰囲気は嫌いじゃないのだけど。

何気に、シャオヤンが髪ゴムと服の色を毎回合わせてたのが良かった。そうゆうオシャレの気遣い大事。シャオヤンの爆発した前髪と、男たちが着こなすスーツの肩幅に時代を感じる。
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