寂々兵

不連続殺人事件の寂々兵のレビュー・感想・評価

不連続殺人事件(1977年製作の映画)
3.6
坂口安吾がミステリ・マニアというのはよく知られている話。原作はそんな彼が生涯残した数少ない長編推理小説の一つなのだが、冒頭20ページで30人近くの名前が立て続けに出てくる。その系譜は映画にも受け継がれ、映画・ポルノ・特撮・舞台・声優界・音楽界などから怪優が次々と現れてはバッタバッタと死んでいく。不要なキャラが多いだの、トリックが破綻しているだの、そんな事はこの差別用語が飛び交うキチガイ饗宴の前にはほんの瑣末な問題。横溝的な本格ミステリを作りたかった曽根中生もまさかこんなことになるとは思わなかっただろう。カルトだが、そこいらの映画では味わえない圧倒的な魅力を孕んでいる。
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