不連続殺人事件の作品情報・感想・評価

「不連続殺人事件」に投稿された感想・評価

一

一の感想・評価

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曽根中生、大和屋竺、田中陽造、荒井晴彦とスター揃いの作家陣に「オオッ」となるが、僕のようにほぼスンヤリ寝てしまった人にも優しいダイジェストのような謎解きパートも「そうだったんだ~」それ以上でも以下でもない。すみませんでした。素肌にサスペンダーの画家・内田裕也の他を圧倒する異物感。
emi

emiの感想・評価

2.7

このレビューはネタバレを含みます


警察が全く仕事しないなぁと
思いながら見てました。

まず登場人物が多い、本当に!
あと土井画伯、内田裕也の裸ジャケット
サスペンダーストールには痺れた。

終盤に、全員を食卓に集めて
すべての殺人について説明する
所がネタバラシみたいで面白い。

8人連続殺人、と思いきや
それぞれが独立した殺人事件になっていて
すべてを恋慕が繋げている感じ。
最後は犯人であった男と女の自殺。

ATGの映画って眠くなっちゃうんだけど
なぜか見てしまうんだよな。
そしてアートシアターを買ってしまう。
沼にはまったら抜けられん、、、
ysak

ysakの感想・評価

3.1
「堕落論」のイメージ強すぎるけど、推理小説たくさん書いてる坂口安吾原作。原作好きだし、内田裕也と劇伴は存在感あるけど、映画としては普通…。
男女の悲哀が起こす連続殺人。何も事件を解決しない傍観する探偵。悲劇的なラスト。金田一かな?ATGにしてはおとなしすぎやしないか?

原作も読まなくては。
★ つながらない殺人、つながる愛

ミステリの醍醐味。
それは“謎解き”だと思います。
だから重要なのは「これは何だろう?」という気持ちを煽ること。これは簡単なように見えて難しく、大胆さと繊細さが求められるのです。

然るに、本作は見事でした。
歌川邸に集まった小説家や画家たちの前で繰り返される殺人。まるで命が紙切れのように消費されていく様はミステリの極致。芳醇で濃厚な味わいなのです。

然るに、その代償は高く、物語の敷居も高く。
何しろ、二十名を遥かに上回る登場人物。
顔と名前を覚えるだけでも大変なのに、複雑な関係性を捉えるのは困難の極み。確実に混乱しますよ。

然るに、これでも噛み砕いているのでしょう。
事件の全貌が分かれば“筋が通っていた”ことに気付きますからね。表層的な描写ばかりなのは、原作を出来るだけ表現したいから…と考えれば仕方のない話なのです。

然るに、最初から無謀だったのです。
端的に言えば“連続ドラマ向きの題材”であり、映画化は風車に挑むドン・キホーテのようなもの。特に内田裕也さんの演技がそれに拍車を掛けていました。何でしょうか…あの棒読み感。

まあ、そんなわけで。
努力した爪痕は伺えるのですが、なんとも微妙な作品。あまりにも“素材丸ごと”感が強いので、消化力を試されると思います。若さがないと乗り越えるのは厳しいかなあ。

ただ、本作の見どころは夏純子さんの美貌。
そう。それだけを楽しめば良いのです。
だから『ウルトラマンA』の隊長を演じた瑳川哲朗さん(出川ではない)の存在感(特に頭髪)が目立っても…それは罠ですよね。

最後に余談として。
歪んだギターの音が印象的なオープニング。
演奏者を調べたらコスモス・ファクトリーというロックバンドでした。70年代は歌謡曲とフォークの時代だと思っていましたが、こういうバンドも存在したのですね。とても勉強になりました。
坂口安吾の「不連続殺人事件」が原作。
原作既読。

感想を箇条書きしますね☆

○とにかく登場人物が多く、とにかくピカイチのロケンローファッション(裸にサスペンダーとスカーフ)にざわつく。ファッションがパンチあり過ぎて、セリフが頭に入らない…字幕が欲しひ。

○巨勢博士の云う「ありえないよね、この不自然さ」うーん、たしかにそうだよな。

○140分くらいあるのかな?まあまあの長さだよね。
登場人物が多いから、映画1本にするよりは連続ドラマとか、映画で前後編かでも見てみたいなと思った。

○謎解きのシーン。探偵が淡々と話すやつ、私は好きです。

2019/1月
夢野猫

夢野猫の感想・評価

3.5
坂口安吾の同名小説をほぼほぼ忠実に映像化した作品。

40年前の映画なので演技や撮影技術には色々有るし、低予算ゆえに残念な所も……。

同時期に金をかけた探偵物作品が公開されているので、便乗映画とか二番煎じとかの感じがするが、コレはコレでなかなかのメイ作では有る。

原作自体がカルト小説(笑)
年代的に横溝正史ブームに坂口安吾をぶつけたんだろうけども、まあ上手くいってないです。曽根中生自身坂口安吾のファンということで、意識してか知らぬが演劇的演技を撮ることに終始している。それがまた恐ろしく停滞を招くので、屋敷へ到着するまでの見事なショット群など種明かしのシークエンスでは忘却の彼方。
濃い人たちの狂宴。

所々無理ないか?という所も力技でエイヤと押し切る。

しかし内田裕也の若い頃は俺の親父の若い頃に顔がそっくり。
《好色!傲慢!文壇画壇の才人奇人が入り乱れる狂気の酒宴》
(予告編より)

純文学作家で非ミステリー作家の坂口安吾による原作は、かの有名な三大アンチミステリー『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』『黒死館殺人事件』の系譜ではなく寧ろ極めてオーソドックスな本格推理物としての評価が高いのですが自分はそうなのかな~と疑問を感じていて同時代の探偵小説作家、江戸川乱歩でも横溝正史でもない、また別の探偵小説のスタイルを作ったのだと思います。

お話しはは不条理かつ登場人物は皆嫌な奴ばかりで言い方を変えればキャラが立っている。
兎に角登場人物が多く冒頭部分を使って30人近いキャラクターの紹介を一気にやってしまう。

山荘に集められた人々とそこで起こる連続殺人。
そして県の本署から、この殺人事件の捜査のためにやって来る「二つ名」をもつ刑事たち。

どんな犯行も一目で勘ぐるという通称”カングリ警部”

どんな手口でも嗅ぎ分けて犯人を見つけ出すという通称”八丁鼻”刑事。

単純な事件も難しく解釈してしまう通称”読ミスギ”刑事。

そして残念ながら映画には登場しない閃き型の女性刑事通称”アタピン”(←メイド役で出てる岡本麗さんにはこっちをやって欲しかった)

これは後の西尾維新の『戯言シリーズ』や清涼院流水の『コズミック』シリーズ等の多数のキャラクターが入り乱れ、そこに特異な能力を持った探偵がやって来るスタイルの原点とも言えると思います。

それと舞台は山荘ですが外界と隔絶された所謂「クローズドサークル」ではなく出て行こうとすれば出ていけるのに、更に皆の中に殺人鬼が潜んでいるにも関わらず誰も山荘を去らない異常さはブニュエルの『皆殺しの天使』を思わせてこれが普通の(?)ミステリーではなくシュルレアリスム文学の色が濃いと感じます。

語り手たる夫婦で山荘に招かれる矢代寸兵と彼の友人で山荘の所有者一族の当主・歌川一馬が矢代夫妻と素人探偵・巨勢博士を手紙で呼び寄せる事から話しは始まり、この二人が主人公かつ狂言回しの役割ですが原作同様非常に影が薄く又魅力的とも言い難いキャラクターで、探偵・巨勢博士も最後に事件の真相を明らかにする以外活躍はたいしてしません。

ある意味主役と言っていいのが内田裕也演じる画家・光一で渾名はピカイチ。
ピカイチは邪悪さとチャーミングさが同居するトリックスター的なキャラクター。
いつも上半身ハダカにサスペンダーのスタイルで、一馬の妻あやめの元夫。
兎に角この2人が仲が悪く顔を合わせれば罵りあい、取っ組み合いのプロレスみたいなケンカを始める。
人妻でも平気で口説き女性蔑視的な発言をすると思えば病弱な歌川家の娘・加代子には優しかったりする。
「セムシの詩人」内海との道行きでは
「セムシの先生、俺が押してやるから大八車に乗りな」と身体の不自由な内海を気遣うと思えば、脚が「びっこ」の海老原医師の言動に腹を立て座ってる椅子ごと持ち上げて部屋の外に放り投げる等、やる事がメチャクチャ。

“不”連続殺人とは一体何なのか?
犯人当ての推理劇よりもやっぱりシュルレアリスム劇、カフカの『城』とは逆に何故か出る事が出来ない場所である山荘。
個人的には三大アンチミステリーに続く四番目の作品にしてもいいのに、と思うのでした。
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