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バニー・レークは行方不明のSPNminacoのレビュー・感想・評価

バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)
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ソール・バスのタイトルバック、無人で揺れるブランコとぬいぐるみの落し物。それだけで完璧に不穏。やがて不機嫌な料理人と子供たちの合唱が聴こえるだけの保育園で、忽然と消えた4歳の娘バニー。途方に暮れるシングルマザーとその兄(ケア・デュリア!)だが、謎が謎を呼び、出てくるのは怪しい人ばかり。異国の地だけに余計歯痒く、英国人のイケズぶりがまたイライラに拍車をかける。ローレンス・オリヴィエ演じる警部だけは比較的まともだけど、それすらアテにならないほどすごく意地悪な厭ミステリーだ。
そもそも初めからバニーは存在していた?というのが鍵となるが、観客でさえバニーを「見ていない」のが凄いところ。但し映像で1カットだけの情報が与えられている。その1カットの「気配」に翻弄されてしまう。ずらりと並んだ皿、大勢の園児、大量の人形、沢山の部屋、雑踏の孤独。居ない者を描写する演出や聴こえる音、モノクロの硬質なコントラストや妙に淡々と明るい音楽で冷ややかに際立つサスペンス。誰も彼も信用できないパラノイア的不条理さがたまらない。クライマックスのブランコはほんと怖かった。そして無性に食べてみたくなるジャンケット。
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