デニロ

刑事マルティン・ベックのデニロのネタバレレビュー・内容・結末

刑事マルティン・ベック(1976年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1976年製作。原作マイ・シューヴァル 、ペール・ヴァールー。脚本監督ボー・ヴィデルベルイ。

高校生の頃、本シリーズを何冊か買って読んだ。文庫の出る前だったと思う。読みだすと止まらない、小説を読み始めて間もない頃だったので何もかもが面白かったのかもしれない。それから数年後、日本では1978年に公開されたようです。わたしの素浪人時代。映画を観る余裕なんてなかった。原作の邦題は「唾棄すべき男」。まるでその頃のわたしのようだ。

今回機会を得て初めて観たけれど、マルティン・ベックってこんな初老のおじさんだったっけ?まあ、記憶に真実などひとつもありはしないのだけれど。それにしても全然活躍していないじゃありませんか。身体も大きくて鈍重にのそのそ動き回っているだけ。あ、警察の中では偉い人だったんだ。何人かいる部下たちをまとめる役。まとまってるか?覚えていない。

作劇は、淡々と進めていくタッチで細かく細かく描いている。淡々としている割には異国情緒溢れる音楽がせわしなく流れています。事件解決のために警察の総監が陣頭指揮を執るのだが、打つ手打つ手が悉く無残な結果になる。まるで「ロミオとジュリエット」のロレンス神父の如くだ。スウェーデン警察をおちょくっているのだろうか。冒頭の殺戮と終盤の標的警察官の銃撃、そして観客が唖然と脱力する救出シーンがサスペンスフル。犯人が現場でコーヒーに角砂糖を浸して食べるシーンは、犯行の動機からして笑いどころでしょうか。

ラスト。無許可の銃所持一般人の一撃。犯人確保逮捕。犯人の顔、で、幕。え?

新宿シネマカリテ 「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション(R)2022」にて
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