OASIS

刑事マルティン・ベックのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

刑事マルティン・ベック(1976年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

有名な警察小説マルティン・ベックシリーズを映画化した作品。

ある夜、病院で警部のニーマンが何者かに滅多斬りにされ殺害される事件が発生し、刑事のルンとベックは捜査に乗り出す。
使われた凶器が銃剣という珍しさもあるが、犯人が犯行に及ぶ瞬間の暗闇から覗く眼と大量に撒き散らされる血にビクッとさせられる。

犯人の手がかりを探す段階で、ニーマンが汚職警官であり部下や容疑者への残忍さ等の悪評が目立つ人物であると判明する。
いかにもニーマンに恨みを持っていそうで怪しげな分署長のハルトが疑わし過ぎて彼にしか目が行かないし、ハルトからニーマン宅に電話があった事からもホシは決定的だと思うのだが、どうもミスリードされている感覚は付きまとう。
彼以外の容疑者がなかなか思い浮かばないような、情報をひた隠しにしている感じが常にあって展開を読むようなミステリー的な感覚は薄いと感じた。

そんな折、街中で無差別発砲事件が発生し市民は大混乱に陥る。
屋上に立て篭る犯人を確保する為隊員を総動員する警察だが、その作戦が真正面からの突撃だったりヘリからの襲撃だったりと直球過ぎてそりゃ犯人に返り討ちに遭うよという感じだった。
「ヘリなら大丈夫だろ」と言いながら隊員を何も考えずに犯人の目の前に着陸させたり、撃たれて墜落したり。
撃たれた隊員が死亡して宙吊りのままヘリが飛ぶシーンのシュールさったら無かった。

ベックも続いて突撃するが、同じくすぐに撃たれて戦闘不能になるし、主役のはずの彼がほとんど活躍していないのはどうなのだろうか?と思った。
ベックの容態も描かれないままだし、犯人の供述等のシーンも無く事件の全容が分からないまま終了するという唖然となるラストは、収拾がつかなかったのか投げやり感が強かった。
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