オッタビア・ピッコロとティナ・オーモンを愛でるための作品。
他はどうでもよい。
撮影当時21歳でボーイッシュな雰囲気があり、少女のような丸顔にクリっとした瞳が魅力的なオッタビア。女優賞を取っただけのことはあり演技もしっかりしている。
それと対照的にクッキリとした派手な顔立ちで、見事にビッチを演じたティナも素晴らしい。
ノーベル文学賞にノミネートされるようなヴァスコの原作なので、労働階級の問題や政治色がテーマの一つではあるのだが、二人の女優が完全に他を食ってしまい二人以外は印象に残らない。
エンニオ・モリコーネの音楽は美しいのだが、その一曲の同じフレーズを延々と使いまわして、ちょっとでも盛り上がりそうなシーンでは必ずかかるのがもう耳障りと言っていいぐらい。
これはマウロ監督の音楽に対するセンスのなさだろう。
それに、これだけ美しい女優二人が、それも男を誘ったり、逆に襲われるようなテンションマックスのシチュエーションがあるのに全くエロくないってのはダメだろう。
同監督の次作「愛すれど哀しく」でオッタヴィアがヌードを披露していることを考えると、今作では押しが足りなかったということか。
前半と政治的要素は流して観て、二人の女優に集中すると楽しめる作品。