オーウェン

わが青春のフロレンスのオーウェンのレビュー・感想・評価

わが青春のフロレンス(1970年製作の映画)
4.0
このマウロ・ボロニーニ監督の「わが青春のフロレンス」は、19世紀末から20世紀初頭にかけての古都フロレンスを舞台に、一人の青年が恋と労働運動に情熱の炎を燃やす姿を描いた作品だ。

貧しさの中に育った若者が、次第に労働意識に目覚め、やがて階級闘争に身を投じる。

しかし一方では、年上の未亡人と初恋の交渉を持ち、死んだ仲間の女房と恋に落ちて結婚し、また隣家の細君の誘惑に負ける、というような多情多感な愛の遍歴をする。

古都のたたずまいが、静かに沈み切った雰囲気で、枯れた渋い味わいを醸し出している。

それだけに、この主人公の若い情念に燃えたぎった生き方が、田園と対比的に私の心に迫ってくるのだ。
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