【第16回ベルリン映画祭 金熊賞】
『戦場のピアニスト』ロマン・ポランスキー監督の初期作品。ベルリン映画祭金熊賞を受賞、英国アカデミー賞では撮影賞にノミネートされた。
ポランスキーはそんなに観ているわけではないが、素直に上手い作家だなぁという印象。シリアスな題材を万人向けに仕立てる手腕が超一級。
ただ、本作を観てみるとコメディだった。『水の中のナイフ』もユーモアたっぷりな一作ではあったが、本作は完全にコメディ。ポランスキーの本質って意外とそっちなのかも。
仕事でヘマをしたとおぼしき犯罪者二人が孤島の古城に迷い込むというストーリー。ただポランスキーの手にかかればそれだけでは済まない。女装、むち打ち、容赦ない破壊などほんとにこの人変態だなぁという…
ラストも「そう終わる!?」という驚きがあった。抑えていた狂気が溢れてしまったような衝撃的な終わり方。
そしてカメラワークがすごくいいなと思ったら『スターウォーズ』『博士の異常な愛情』の人だった。英国アカデミー撮影賞ノミネートも納得の素晴らしい撮影。
ポランスキーの変態性がコメディということでいい意味で作用していると思ったし、ラストの狂い具合もよかった。実験性もありしっかり面白いという金熊賞らしい作品だった。