垂直落下式サミング

映画ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.7
ドラえもん誕生100年前という節目の年を記念して完全オリジナル・ストーリーで描く冒険ファンタジー・アニメ。ドラえもんたち一行が、絶滅したはずの野生動物たちが暮らす不思議な島を舞台に大冒険を繰り広げる。劇場版ドラえもん。
かわいい絶滅種がいっぱい!恐竜ならば絶滅動物の花形だけれど、サーベルタイガーやドードー鳥など哺乳類や鳥類がメインで出てくるから嬉しいかぎり。ニンゲンとの生存競争に負けて、もしくは乱獲されて、いろんな経緯で淘汰されていった奴らが元気に生きているから、殺戮種族ホモ・サピエンスの背負う原罪をほんの少しだけ楽にしてくれるのが、ここが奇跡の島の楽園たるゆえん。
ドラえもん映画にしては珍しく、友達との友情よりも親子の愛みたいなのが先にあって、のび太にパパがデパートでカブトムシを買ってくれるところからはじまる。
飽き性で、ペットの世話なんかぜんぶドラえもん任せなのび太。人から与えられるのではなくて、みずからの力で勝ち取ることに価値があるんだって、パパものび太も成長して終わらなきゃなんないと思うんだけど、なんかうまいことストーリーの転がしかたと語るべきテーマ性が隣り合っていない気がする。途中で、僕の生まれた日のエピソードが、挟まれるのがうれしかったなぁって、そんくらい。
大長編は相変わらず、友情パワーに力が宿る。どこまでいっても情けないのび太に対して、ジャイアンやしずちゃんたちは、なかなか胆のすわった覚悟の決まりよう。白眉は、三半規管を破壊する振り回し拷問に耐えるスネ夫。真っ先に音をあげそうなヤツなのに、自分以外の人質が女の子だから、必死こいていい格好する。
ゲスト声優は、すげえメンツ揃いぶみ。タイムマシンから時空の穴に落ちた迷子の少年の役には、でぇベテラン野沢雅子!悪役は、みなさんご存知の山寺宏一。アイドル声優のパイオニア・水樹奈々が幼女を演じる。
そして、超かっこいいケリー博士は、田中敦子さんの落ち着きお姉さんボイスがキャラクターにベストマッチ。出番はそんなに多いわけじゃないが、甘ったるくアニメアニメしていない良い心地の声。
奇跡の島部族ガールズたちも、声がいい。これは情報番組の女性アナウンサーの人たちが声をあてたらしい。どうりで、僕の好きなクセのない声質ですこと。演技慣れしてなさそうな雰囲気がいじらしくて、むしろけっこうドキドキする。