半兵衛

奇々怪々 俺は誰だ?!の半兵衛のレビュー・感想・評価

奇々怪々 俺は誰だ?!(1969年製作の映画)
3.3
ある日主人公の前に突然自分を名乗る男が現れ、知り合いや家族に会っても誰だと言われ、主人公は絶望してしまう…。これだけ聞くとカフカや安部公房、勅使河原宏、オーソン・ウェルズ、ATGがやりそうな内容なのだが、これをなんと娯楽の王道を行くクレージーキャッツでやってるところが凄く、そのためか一連のクレージー映画の中でもカルト扱いされている。

それでも監督はクレージー映画を多数手掛けている坪島監督だけに、いかにも娯楽のツボを外さない演出になっており奇抜さを期待していくと少し落胆するが、でも谷啓となべおさみのマンガチックな対決シーンや、ハナ肇のベタすぎる精神病患者の演技などいつものクレージー映画の演出をすればするほどそれがかえって作品の底にある不条理さを煽っている気がする。でも谷啓が喫茶店でコーヒーを飲んでいるときその姿が鏡に反射して、それがまた反射して無限に続いていってまるで無数の谷啓が存在しているかのような名シーンをもう少しやってくれたら面白かったと思う。

極めつけはラスト、最初見たときどう解釈していいのか困ってしまった。
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