Manabu

愛・アマチュアのManabuのレビュー・感想・評価

愛・アマチュア(1994年製作の映画)
4.5
この映画はソフトなハードボイルドなのか?ハードなソフトボイルドなのか?と、真面目に考えながら見ていたら、いつの間にかハルハートリー式映画の坩堝に惹き込まれてしまいました。

一言で表すとカオスです。

だけでは、片付けられない映画です。

修道院出身で純潔なポルノ雑誌の官能小説担当イザベル。そしてソフトな大物ポルノ女優を演じる、たくましく育ってしまったマチルダ、いや、ニキータ、いやエレナ。この手の、男を引っ掻き回してぽいっと(窓から)平気で捨ててしまえる妖艶な女狐には要注意なのですが、やっぱり、こういう女性こそが非常に魅力的に思えちゃうんですよね。好きです。

って時に、そのタイミングで出てきた例の彼!彼が35口径をぶっ放し始めたのを合図と見たり!ああ、この映画の、このシーンがあーでこーで、そのかの云々考えなくていい映画だやぁモードにカチッと切り替わっておもいっきり楽しんで映画を鑑賞できました。幸せです。

でも、後から後から途中から、あ、このシーンは。とかいろいろ面白かったりで、なるほどこういうところがハルハートリーなんだと再確認しました。大好きです。

この映画の空気もやっぱり自分の中ではエドワードホッパーの絵画の空気だったです。内容もグレイスペイリーの短編の一部みたいな空気もあったり。ゴダールのカルメンみたいだったり。自分の好きな感じ満載でした。
俺、生まれてくる時代と場所間違えたかも。というくらい好きな監督の一人です。

というルンルン気分のまま、今夜もこのまま、三途の河、靖国通りを渡ります。
今回「ハルハートリーis back!」という映画館企画のようですが、今度は更に、この街にお招きして。で、ゴールデン街にお連れして。一杯やってる間、その辺にカメラ置いといて録画したら面白いの撮れるんじゃないかな。たぶんその辺の路地からドニラヴァンとかがひょっこり出てきてくれそうだし。何より驚きな東宝のどでかい映画ビルできるとか、もはやこの界隈は、誰かがシムシティで作った完全なファンタジーです。

ハルハートリー監督が作り上げた、妖しくも美しい幻想世界に、自分も入って行くことで、映画を鑑賞する、のではなく、その映画を受け入れる、ということが出来るんだな。と、自らに発見しました。

何かにどん詰まりしてる人へ、お薦めしたい映画です。

〈2014.02.22.k's cinema〉
Manabu

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