存在の耐えられない軽さ

ストロンボリ/神の土地の存在の耐えられない軽さのレビュー・感想・評価

ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)
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『ストロンボリ』

日本語訳の別題は『神の大地』だけど、どちらかといえば神に見捨てられた土地って書くべきだったな。ラストはインチキだ。
マイナーなもののために映画を撮りたいなら、イングリット・バーグマンが虐げられていることさえ、たぶん思われてるほどには重要じゃないね。
(それにしても『ヨーロッパ1951』といい、彼女は俳優生活の翳りからかこういう幸の薄い役はほんとうにうまいけど、でも僕はハリウッド時代の元気な頃の仕事の方がずっと好きだ。)
土地の者すら逃げ出す辺境にいって、廃墟同然の建物をカメラに収め、礫や溶岩を撮ってきた。地中海によくみられる石灰質の白壁というのは、それに厚く四方を囲まれているというだけでマイっちまうらしい、ときによっちゃ。病院なんだ。
(患者は花の絵を壁に書いて抵抗する。)
途中で石階段は欠けたりなんかしてるけど、その分、どこかにやり場があるわけじゃない。登っていかないで、足らないままそこでこと切れてる。村一番の催事だった漁業運動さえそうだ、網を手繰って飛沫あげて、ただ目を瞑るしかない。目を瞑って閉ざすあいだ、動きをとめられて死ぬことになるマグロのヤツらは、誰に応えられることもなく痙攣する。
この土地にきてからというもの活動の類い一切は悉く封じられたわけだ。ところで君、ならあの究極的な活動、ストロンボリ式噴火はいったいなんのための活動だったのか、高さと火山性ガス......息が詰まる。

存在の耐えられない軽ささんの鑑賞した映画