Jeffrey

ノスフェラトゥのJeffreyのレビュー・感想・評価

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)
4.0
「ノスフェラトゥ」

‪死臭漂う怪奇で幽闇な世界。宗教的な音楽。本作はドラキュラ映画の元祖であるエF.W.ムルナウ監督の作品をリメイクしたものだが吸血鬼映画の最高傑作だと思う。死のエロス、ドラキュラ伯爵役のキンスキーの怪演、ヒロインのアジャーニの美貌と恐怖に満ちた表情…全てに於いて異様だ。‬

この作品をクラウス・キンスキーのメイクを施したのは日本人であり、クルク麗子と言う人物である。あの悪鬼ゴブリンを彷仏とさせるビジュアル・インパクトは、「サンライズ」と言う傑作を世に遺したF・W・ムルナウのサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」の主人公にそっくり風貌をしている。ドイツ表現主義映画のムルナウはヘルツォークにとっては偉大な映画作家だったのだろう。それにしても完璧なスキンヘッドに大きく作れたら耳の印象は脳裏に焼きつき、舞妓さんも真っ青な白塗りされた顔と血管が切れたような表情と見開かれた瞳はゾッとする。78年には監督はムルナウの古典的名作である本作を「ドイツ映画史上で最も偉大な作品」と呼んでおり、撮影はオランダ及びチェコスロバキア各地で、5月1日から7月6日まで行われていたさうで、続く7月13日から8月3日までの間に、監督はスロバキアでビューヒナーの戯曲を忠実に映画化した「ヴォイツェック」を撮影してる。余談だが、ヘルツォークは、ムルナウの傑作のリメイクをすることによって、彼の映画を20年代の正統派ドイツ映画に繋ぐことができると話していたそうだ。
Jeffrey

Jeffrey