夕

奇跡の海の夕のネタバレレビュー・内容・結末

奇跡の海(1996年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ベスが死ぬまで全部ひっくるめてグロテスクすぎてかなりキツかった…食欲無くなるほどしんどかった
最近オウム真理教とか酒鬼薔薇事件に関する本読んだりしてたから、見てる内に神との同一化とか絶対帰依とかいったワードと共に、そういう在り方を目指す人たちと現実社会との間にどんなズレが生じるのかなどの学びが、ガイドラインまたはある種のバイアスとなって映画の進行に添い続けていた
その上で、やはりベスと教会の人たちが信仰している神は、ベスの中に神が宿った時点で別の神様やったんやろな(ラストシーンも、いわゆる″神″がベスを祝福したようには思えない…あくまでベスは無自覚な上で結果的にではあるけど全く別の神を信仰してたし、そのベスの神がベスのことだけを祝福したという方が個人的にはしっくりくる)と思ってしまう
ベスが帰依した神はあくまでベス個人の内なる良心、善意を、稚拙ではあるけど(知恵遅れ的な側面をもつベスの内から生まれたことからも考えられるように)、ある程度ロジカルに成立させる、ベスの世界にとって必要な父やったのではないか
そんなことを考えてたから精神病院送りにされそうになったとき、ちょっと辛くて映画を止めてしまったくらい
序盤のベスの無垢な振る舞いにも見られるように、こういう未成熟さ由来のイノセンス、それに端を発する内発性が神の絶対的な意志によって保護される、さらに同化してしまうということが、作中に出てきた言葉を借りると、どれだけのパワーを持ってしまうのかってことを思い知らされる、それは作中、実際に奇跡を起こすわけやし…
というか、映画が撮り方や演技も相まって生々しすぎてほんまにこのあたりがキツかった
ベスの内なる神が教会の対話シーンで誰かしらに勘付かれるのかと思った
単純に人間が持つ真なる愛の在り方としてこの映画を観るのは、大袈裟かもやけどなんとなく危険な気すらする
夕