もとまち

魚と寝る女のもとまちのレビュー・感想・評価

魚と寝る女(2000年製作の映画)
4.0
女性に対して偉ぶり、一方的に搾取し、そのくせ女なくしては生きることのできない幼稚で愚かな男どもを徹底的に描く一方で、監督自身の「女に愛されたい、受け入れられたい」という身勝手な欲望も透いて見えるようで、何とも言いがたい作品ではある。

しかし、美しさと生臭さが同居した独特の世界観は本当にクセになる。湖に釣り船が点々と浮かぶ幻想的な風景に見とれていると、唐突に登場するおっさんのウンコシーン。そしてそのおっさんを湖に引きずり込もうとする管理人の女。ホラー映画か!
予測不能のシュールな感覚は、終盤に向かってさらに加速していく。釣り針を口に突き刺して釣り上げられる男。肥溜めからセックスを覗く女。体を切り落とされながらも泳ぐ魚。

管理人の女を演じるソ・ジョンの演技がとにかく素晴らしい。ある時は人魚のように美しく、またある時は妖女のように禍々しい。怒りと情念を宿らせたあの目つきにただひたすら圧倒される。
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