櫻イミト

知らなすぎた男の櫻イミトのレビュー・感想・評価

知らなすぎた男(1998年製作の映画)
4.5
アメリカを代表するコメディアンのひとりビル・マーレーが主演するサスペンス・コメディの傑作。監督は「コピーキャット」(1995)などのジョン・アミエル。

レンタルビデオ店員のウォレス(ビル・マーレー)は誕生日を祝ってもらおうと銀行家の弟のもとを訪れる。しかし弟には大事な商談があったため、ウォレスを演劇体験型アトラクション“ライヴ劇場”に参加させることに。ところが、本物のイギリス諜報部からの電話を間違って取ったウォレスは国際スパイ戦に巻き込まれてしまう。アトラクションだと思い込んでる彼の運命は。。。

こぅ様からご紹介頂き鑑賞。

コメディは苦手なのだが、本作には思わず声を出して笑ってしまった。命の危険が迫っているのに全く気づかず、カッコつけたポーズを決め照れ笑いなど浮かべてみせる主人公。映画が進み彼が調子にのればのるほどハラハラしおかしさが込み上げる。その勘違いぶりが実に絶妙で、ビル・マーレーの面白さを思い知った。

実際に起こっているのは国際的なテロ計画で、映像の作りもそれに準じた本格的なアクション仕様。こちらも完成度の高い仕上がりで、カーチェイスなどかなりの見応え。

芝居と本物を勘違いする物語は「サボテン・ブラザーズ」(1986)を連想するが、同作が途中で勘違いに気付くのに対して本作は最後までノリノリ。同じく殺し屋系の勘違いを描いた三谷幸喜監督「ザ・マジックアワー」(2008)は本作を元ネタにしていると言って間違いないと思う。

スタイリッシュなオープニングの謎を最後にしっかり回収するなど全編に渡ってシナリオも緻密。個人的にはコメディ映画のベスト本命の傑作だった。

※ただし自分が堅物なので、主人公のその後が心配になってしまった。次世代設定でも良いから続編の制作を待望したい。
櫻イミト

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