パンケーキレンズ

灼熱の魂のパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.5
私が母親なら、事実を打ち明けただろうか・・・
私が娘なら、事実を受け止められただろうか・・・

宗教紛争に翻弄される、1人の女性
現在と過去を行き来しながら、過酷な現実が1つずつ紐解かれていく・・・
予想以上に過酷な内容でしたが
でも、必要以上の残酷描写はなく
それでも、砂利道を歩く音さえも無情に響く・・・
砂埃が否応にも視界をさえぎる・・・
ヒリヒリと、魂が焦げ付いていくような、そんな感触

冒頭の音楽と、少年の瞳で、一気に引き込まれたわけですが
どんな境遇であっても
どんな運命を辿っても
どんな大人になっていようとも
親にとって子が、どれほど大きな存在であるのか
強いメッセージに圧倒される

手紙は、必ず、渡らなくてはいけない
短い言葉でも、これだけは伝えなければならないことが
たった一つだけ
たった一つの言葉だけ
それだけで
私も、あの人も、救われる・・・
そうでなければ、私はこの世に存在しなかったのと同じ
お墓に眠る資格はない・・・

衝撃の(偶然過ぎる、若しくは残酷すぎる)真実を前にして
ただ、もう、沈黙するしかない

慟哭でも、憤慨でもない
ただ、立ち竦んで沈黙するしかないあの瞬間が
今でも、いつまでも、忘れられない・・・