チッコーネ

火の馬のチッコーネのレビュー・感想・評価

火の馬(1964年製作の映画)
3.0
監督の初長編作のようで、1年の期間をかけた撮影からは、旧ソ連圏の生活ぶりや文化を確認可能。
厳しい自然環境の中で行われたロケでは、カメラも激しく動いている。
また室内/公共の場である酒場場面の演劇的な演出はユニークで、印象に残った。

民話が元となった脚本らしく、『嵐が丘』のような文芸ホラー要素も。
文明社会とはひと味もふた味も違う生活環境の中で生きる人々の物語であり、チャプターごとのブツ切り構成にはヌーヴェルヴァーグのようなシュールさも漂うが、共感不能というわけではない。
また村社会に蠢く老女たちの噂話を頻繁に挿し入れるなど、毒っ気も目立つのは大いに救い。