半兵衛

たたりの半兵衛のレビュー・感想・評価

たたり(1963年製作の映画)
4.0
映画という映像で記録する媒体で、存在や概念が曖昧なものを表現するというのは難しい作業だと思う。なぜなら映像を撮影する機械はそんな具体的な肉体の無いものは無いものとしてそのまま提示するから、だったらそういう奴はわかりやすく怪物みたいな存在にして暴れさせた方が映像として残しやすい。

この作品の凄いところは超常現象の原因である「何か」は映像に一切姿をあらわさないのに、物音や巧妙なカット割りにより画面に常に存在しているのような空気感を漂わせていることで、概念が曖昧なものの記録に成功した数少ない例と言えるかも。そんな「何か」が大暴れして自分と同調しそうな孤独で精神的にも不安定な女性を自分の世界へ引きずり込み、養分として吸収してしまっていく終盤の展開はおぞましいものを見せられているような感覚に襲われて圧巻。

目に見えない存在が満足げにしているようなラストに背筋が震える。
半兵衛

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