TaiRa

骨までしゃぶるのTaiRaのレビュー・感想・評価

骨までしゃぶる(1966年製作の映画)
-
廓コメディだけどシリアスな部分も剥き出し。暗黒喜劇。

田舎の貧乏百姓の娘だった桜町弘子がわけも分からず廓に売られる。田舎もん丸出しのおぼこい娘が現実を知るにつれ、擦れた女郎になって行く過程がめちゃくちゃ生々しい。桜町弘子の変わり様も上手い。経営側のブラックさとかを細かく見せて行くのも良い。女たちの売上を帳簿に付けながら適当に借金増やして行く作業とか。宮園純子に廓の現実教えられる場面、彼女の顔に被さる窓格子がそのものズバリにここは牢獄であると言っていて、その後の展開がどんどん監獄or収容所映画〜脱獄映画になる事を予兆する。童貞の夏八木勲(新人)の可愛さとピュアラブが救い。夏八木勲が二回目に来店して、桜町弘子待ってる間にソワソワして逆立ちしちゃうのも最高。久保菜穂子の佇まいと絶望感がまた凄い。廊下の手前と奥を強調するローアングルの構図が痺れる。女殺しの川谷拓三への虚しい共感とか、システムそのものへの反逆に意志が向かう感じがまたね。売上成績の悪い女郎が大陸に売り飛ばされる残酷さとかも怖い。ヨイトマケとカットバックする桜町弘子の廓抜け決意の瞬間とか、その後に実行する計画とか、めっちゃ脱獄映画。乱闘からの脱走の躍動感。桜町弘子が夏八木勲のもとへ駆けて行くラストの編集が最高。喜びが走り出す繋ぎ。
TaiRa

TaiRa