トムヤムくん

人生はビギナーズのトムヤムくんのレビュー・感想・評価

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)
3.7
38歳にして初めて恋人ができた主人公と、75歳にして同性愛者であることをカミングアウトした父親の物語。まさにビギナーズ(初心者たち)の話。

監督は『20センチュリー・ウーマン』や『カモン・カモン』のマイク・ミルズ。本作は彼の父が亡くなるまでの5年間、実体験を基に描かれている。

映画はいきなり父親の訃報シーンから始まる。父が亡くなった現在と、父が生きている過去を交互に行き来するのだが、決して話が暗くならない。コメディとまでは行かないものの、どこか明るくて軽妙な雰囲気に包まれている。その明るさの源は、父親を演じたクリストファー・プラマーの存在感だと思う。彼はその年のアカデミー助演男優賞を受賞し、少ない出演時間ながらキャリアベストとの声が溢れた。

人付き合いが不慣れで内向的なユアン・マクレガーも良い味を出している。父の死と向き合うことで成長していくと同時に、犬への愛情は怠らないのが憎めない。大きな展開はないし、もちろん悲しい話ではあるのだけれど、終始ほのぼのしていて楽しめた。