茶碗蒸し

イリュージョニストの茶碗蒸しのレビュー・感想・評価

イリュージョニスト(2010年製作の映画)
3.3
切なかった。
魔法使いはいない
に込められた想い。

幻想を解きたいわけじゃなかったけど、夢を見させ続けることができない(おじいちゃんに深夜労働はキツいしお金を用意し続けるのも大変だし)。

娘にしてあげたかったことと重ねていたのだとすれば…。

それまでのふたりがどんな風に人生を送ってきたのか、そして悪気ない子どものように求め続けた純粋な少女は、これから愛する人と生活をして、現実を知るうちに、見知らぬおじさんがしてくれた何よりも尊い愛の魔法に気付くのかもしれない。

女の子はなにも悪くなくて、ただ、魔法使いと信じ込んでしまうほどに何も知らされない環境で育てられてきて、ただ、幸せになりたかっただけ。キラキラしたものや恋に憧れる、それは当たり前の欲求。現代の日本に生きる私にはわからないほどの大変な生き方をしてきた。

タチシェフが女の子に与えてくれたものは、本当にきれいです。旅、ドレス、押し付けがましくない、さりげないやさしさ。ひとりの人間を、現実的に、幸せにしてみせた。
タチシェフは、本物のイリュージョニストでした。
彼にもまた、幸せが訪れることを願っています。
茶碗蒸し

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