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ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃のKUBOのレビュー・感想・評価

5.0
私の大好きな金子修介監督の傑作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』をちゃんとレヴューしてなかったので、テレビ放映を機に久しぶりの鑑賞。

本作は昭和29年のゴジラと直結。これまでの昭和の正義の味方としての姿は封印、ゴジラは日本を襲う破壊神として登場する。

「護国聖獣傳記」という古文書の中に記された三体の聖獣。バラゴン、モスラ、ギドラ。ギドラは千年竜王とされ八岐大蛇の伝説の元となった存在とされる。

あのキングギドラが宇宙怪獣ではなく、大和の守り神というのには些か抵抗があるが、平成ガメラでもそうだったように、この金子の伝説好きは好物だから、それだけでうれしくなる。

ここで重要な役割を果たす天本くんの存在感! こんなオカルトを感じさせる老け役の俳優って、必要なんだけど、今いないなぁ。

「ゴジラは強烈な残留思念の集合体。太平洋戦争で命を散らした人間たちの魂が宿っているのだ」

「どうして日本を滅ぼそうとするのですか?」

「人々がすっかり忘れてしまったからだ。過去の歴史に消えていった多くの人たちの叫びを、無念を!」

ああ、完全に軍拡進む今の時代に見るべき作品だわ。

箱根の大涌谷でのゴジラvsバラゴン。平成『ガメラ』の時もそうだったが、金子は誰もが知っている街や観光地で、普段の目線から見たところに怪獣を登場させるから、よりリアルに感じられる。このセンスとこだわりがいい。

防衛軍(すでに憲法改正後か?)のミサイル攻撃が一切効かない。今だったら、アメリカから買ったトマホーク400発ぶち込むか?

出撃する宇崎竜童の台詞「実践経験なきことこそ、最大の名誉でした」。いつまで自衛隊の人たちはこう言えるのだろうか?

本作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』は、個人的には最高傑作! 『シン・ゴジラ』よりずっとおもしろい。

平成『ガメラ』『GMK』『あずみ』『デスノート』まで、まさにヒットメーカーだった金子修介。なんでその後メジャー映画会社から干されちゃったんだろう?

また、大作映画、撮ってもらいたいなぁ。『ゴジラ対ガメラ』を撮れるのは、金子修介しかいないと思うんだ。

*「ゴジラに酷似した巨大生物がアメリカを襲った」あの惨憺たる最初のハリウッド版ゴジラを皮肉った台詞がおもしろい。

*佐藤二郎が伝令役のちょい役で出てた!

*前田亜希、前田愛、螢雪次朗の平成ガメラ組もカメオで出てた。
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