しゅん

ランブルフィッシュのしゅんのレビュー・感想・評価

ランブルフィッシュ(1983年製作の映画)
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弟の愛の希求も、兄の自由への憧憬も、どちらに進んでも地獄。つまり、保守もリベラルも80年代にはすでに先がなかった。砂嵐の舞う街、早送りの雲、性急な時計のようなスチュワート・コープランドの音楽。止まってるように見えて、強烈なスピードで過ぎて行く世界(兄を狙う警官は針のない時計の横に佇む)。家族も、仲間も、恋人も手に入らず、兄と弟の分裂の中で、一人でバイクを走らせるしかない。頭の悪いガキが掴んだ諦念と真理。白黒の強調、低い位置のカメラ、流れるような移動(バスの裏側へ回り込んでキスをする!)が、タルサの街と兄弟の侘しさと苛立ちを叙情する。カッコ悪いもカッコいいも含めて、誰もここから逃れることはできない。スマホ漬けの今だって同じだよ。

恋人の妹役で出ているのはソフィア・コッポラ。
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