櫻イミト

ブロンテ姉妹の櫻イミトのレビュー・感想・評価

ブロンテ姉妹(1979年製作の映画)
3.5
『ジェイン・エア』(1847)を書いた長女シャーロット・ブロンテ、『嵐が丘』(1847)を書いた次女エミリー・ブロンテら、ブロンテ三姉妹の伝記映画。フランスの名女優マリー=フランス・ピジェ、イザベル・アジャーニ、イザベル・ユペールが姉妹役で共演。

先日観た「ジェーン・エア」(1944)が面白く、原作者に興味を持ち鑑賞。

美しく綿密に設定された映像に、ブロンテ姉妹の小説の原風景が感じられて見応えがあった。本作に何度も挿入される曇りがちの荒野の中で、彼女たちは遠い世界に思いを馳せ想像力を育んだのだろう。

シャーロット(ピジェ)とエミリー(アジャーニ)の間に唯一の男兄弟ブランウェルがいて、彼のエピソードが厚めに描かれていた。大人しい三女のアン(ユベール)は「ジェーン・エア」の子供時代の親友ヘレンのモデルと知られているので、ブランウェルも他の小説の登場人物のモデルとなっているのだろう。

本作を観るにあたっては、最低限の知識として『ジェイン・エア』と『嵐が丘』の内容を知らないとあまり楽しめないかもしれない。二つの偉大な作品が、どのような時代と環境で、どのような女性の手で執筆されたかを再現し解き明かす耽美的な一本。

イザベル・アジャーニ(当時24歳)がエキセントリックな存在感を放ち目立っていた。2年後の「ポゼッション」(1981)では凄まじい狂気を演じてカンヌで主演女優賞を受賞する。
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