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Vフォー・ヴェンデッタのあらじるのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
4.8
アランムーアはやはり良い🤦‍♀️
ヴェンデッタ=「復讐」
全体主義の超監視国家として政府に飼い慣らされたイギリスで1人の男が裁判所を爆破する。
めちゃくちゃかっこよく見えるけどもダークヒーローでもないもはやただのテロリスト。復讐のための怪物。
やってることはシンプルにテロだし、じゃあ復讐と革命の違いって何?って思うけど、カタルシス的にはどちらも同じなのかなぁと。

ラストで次世代にレバーを託したところは、Vはあくまで「すべてを終わらせる」ことに重点を置いていたからなんだろう。
復讐は何も生まないかもしれないけど、自分たちの世代からもう何も生まないために復讐をするのだと思った。

原作も読んだら政府の組織が「ザ フィンガー」「ジ イヤー」「ジ アイ」等々の名前がついてて全体主義感強めでよかった!そしてやっぱ小ネタの量が多すぎて追いきれません!(笑)楽譜のページあるし台詞回しが不穏なとこあるし!!!(笑)

あと原作はイヴィー監禁の理由もちょっと違ってたり、バイオテロの件はなかったりして映画化にあたってのアダプテーションが上手いな〜とびっくりしました。

コミックならではの情報ぎっしり感をそのまま映画でやろうとするとわけわからんことになっちゃうけど、そこは潔く削ぎ落として「Vの復讐」「政府によるバイオテロ」の2本軸で話を進めていくことでまた別のお腹いっぱい感が出ているので満足。

でも原作にある「アナーキーにはふたつの顔がある。破壊者と創造者だ。破壊者が帝国を打ち砕き、廃墟の白いカンバスを用意した後で、創造者がより良い世界を築く」はこの作品を簡潔に言い表しているわかりやすい台詞だから使ってほしかった〜!(笑)
でも「自由は言葉じゃなくて生き方」はめちゃくちゃかっこいいです。

爆破シーンで使われてる「祝典序曲1812年」はロシアから撤退するフランス軍がテーマになった曲で、華々しいながらも「負け戦」「撤退」のイメージを持っている。またVのつけているガイフォークスのマスクも、もともとは革命に成功しなかった男ガイフォークスがモデルになっていて、Vの危うさ、破壊者にはなれても創造者にはなれなかったという弱さ、が表現されているような気がした。
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