颯

新・仁義の墓場の颯のレビュー・感想・評価

新・仁義の墓場(2002年製作の映画)
4.0
己の仁義を守らんと1人先走ったが為に
仁義を欠いてしまい薬に溺れ
その仁義に殺された男。
まさに仁義の墓場。

どうしてもオリジナルと対比して観てしまう点はあるとして……

最初はどうもオリジナルより主人公がサイコパス気味で映画全体の雰囲気も冷たいものを感じていたけど、
話が進むにつれ
どちらもヘロインで狂ってゆくことは同じなんだけど
それでも初っぱなからの無鉄砲の勢いを残したまま進んでいるのを感じさせるオリジナルに対して、
こっちは薬でしっかりと狂って廃人になっていってる印象を抱いた。
それでも何故かこちらの方が主人公の感情の機微を画面越しに感じ取れた(気がする)のは
ザ・実録!なテイストのオリジナルより
現代バイオレンス映画なテイストだったからかもしれない。

主演の岸谷五朗も、渡哲也が出していた「全身の勢いと迫力」とは違い「表情の妙」を感じた。
(どちらも迫力が物凄いぐらいにあることは変わらないけど。)
妻(有森也実)に対して愛情を感じているような描写もあったし。
有森也実もヘロインぶち込まれて廃人になっていくんだけど
その過程、状況に加え表情の儚さたるや。切ない。
端から見たら最悪なんだけど幸せそうだったのが尚更に。

随所で目に付く血をはじめとした「赤」が印象的な映画でもあった。
とにかく岸谷五朗の顔がヤベェ。
あと井上晴美が美人でした。
颯