もしも自分が信じていたものが、今見えているものが幻だったとしたら…。数学においては天才的な頭脳を持つが、社交的になれないジョン・ナッシュ。彼は自分の世界だけに固執し論文を書かなかったが、あるきっかけでアダム・スミスの理論を覆すゲーム理論を発表して大学から認められる。ここで初めて彼の物語は動きだすが、同時に幻覚に悩まされる苦しい人生の始まりでもあった。数字だけを信じて生きてきた彼は、献身的な愛の力に触れ徐々に立ち直っていく。とにかく脚本が素晴らしいと思った。ナッシュが見る幻覚はこの映画を観ているものにとっても真実であり、予想もしなかった展開に感動した。そしてナッシュ役のラッセル・クロウ、ナッシュに愛を捧げたアリシア役のジェニファー・コネリーが素晴らしかった。二時間弱の映画の中で登場する全ての人物がしっかりとその場に生きていたと思う。
