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トト・ザ・ヒーローのnousagiのレビュー・感想・評価

トト・ザ・ヒーロー(1991年製作の映画)
4.1
年老いたトマの回想記。

現在と過去、現実とトマの妄想が混じり合う世界にサスペンス要素もあり、話の構成が見事でした。

たくさんの幸福な記憶より、不幸な出来事にとらわれてしまうことってありますよね。まさにトマがそうなんです。
トマは子供の頃からある妄想に取り憑かれています。
産まれた時に自分は隣の家の子供アルフレッドと病院の火事で入れ違ってしまったと。自分が隣の家の子だったらいいなと、ずっと羨んでいました。
うまくいかないことを全てアルフレッドのせいにしてたんです。

年を取ってからもその妄想は変わりません。現実から逃げているせいか妄想がどんどん膨れ上がります。

現実を知ることで、やっと自分を不幸にしてたのは自分ということに気付きます。
自分と向き合うことが出来たトマの決着のつけ方がなんとも切なかった。
空想の世界の名探偵 トト。
トマは本当のヒーローになれたよね。

全てのことから解放されたトマの笑い声や、明るくて楽しいBOUM!の曲を聴いてると、これは監督の人間賛歌に感じました。

映画のおもしろさがぎゅっと詰まった素晴らしい作品になってます。

あ〜BOUM!の曲が忘れられない〜。
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