美しくて瑞々しい景色にライ・クーダーの哀愁を帯びたギターの音色、もうそれだけでいい映画だなぁと思ってしまった。
トラヴィスの弱さも不器用さも、いまなら少しわかるかもしれない。
人を愛することのなんと難しいことか。
愛があまりに強くなり過ぎると感情に振り回され身勝手なものになってしまう。どうしてこうなってしまうのだろう。
マジックミラー越しの二人のシーンの切なさといったら。こんなに近くにいるのにお互いの心の距離は遠い。ミラーに映る自分の姿のように、相手を見ているようで自分のことしか見えていなかったんだ。
トラヴィスの今できる精一杯の愛に触れ、胸の奥がじわっとあたたかくなった。
切ないけれど、愛おしくもあり、どこか心地よい余韻に浸ってしまう。