「人生にリハーサルはない」
これぞ、香港版『オール・アバウト・マイ・マザー』！
タイトルの虎度門とは、広東オペラの舞台と現実の境界線の事。
自宅から昔購入したVHSが見つかって鑑賞しました。

オーストラリア移住を目前に控えた、広東オペラの名女優キンサム。しかし、移住を目の前にして、夫とのすれ違い、娘のレズビアンが発覚するなど、途方に暮れていた。また、シンガポールから彼女の元で修行をしたい！と乗り込んできた、若手女優ユクション。なんと、彼女のボーイフレンドは、キンサムのかつての私生児だった...。母として妻として、そして一人の女性として、彼女の運命は如何に？

主役のジョセフィーン・シャオは、香港のシャーリー・テンプルと呼ばれた名女優で、この作品の後、難聴の為引退してしまいました。
『君さえいれば／金枝玉葉』のアニタ・ユンが、若手女優の役で、いつものコミカルな演技ではなく抑えた演技でした。
当時香港を席巻した、アイドルのダニエル・チャンとか出ていて、すごい懐かしい気分になりました。

香港の中国返還で揺れた、1996年の香港をドラマティックに描いた作品です。
監督のシュウ・ケイは、確か天安門事件のドキュメンタリーを撮っていて、なかなか気合い入った人物。

1996年は香港映画最後の輝きを見せた年で、ジャッキーやチャウ・シンチーが全盛期の輝きを見せて、カーウァイ先生や人間ドラマなど多数良作が作られていた、夢みたいな時代でした。何故かこの頃香港で『金田一少年の事件簿』が勝手に映画化されていたりと、カオス極まりなかった。笑

娘のLGBT問題まで扱っていて、90年代にしては結構進んだ作品！
地味な作品ではありますが、エピソードがとにかく面白く、VHSでしか鑑賞できないのが残念過ぎる...。

アニタ・ユン好っき

また観たい。