佐藤克巳

社長太平記の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

社長太平記(1959年製作の映画)
4.5
シリーズの円熟味が上がってきて、戦後パラシュートを原材料に下着メーカーに発展させた二等水平森繁久彌が社長に、兵曹長小林桂樹が専務、艦長加東大介が庶務課長と、戦中海軍の序列と逆の地位にあるため、時折双方の態度が逆転する可笑しさ。笠原良三脚本、松林宗恵監督コンビの秀逸な正篇を構成し、1話完結した中身の濃いサラリーマン映画の傑作となった。本社の避難訓練、バーの創業記念パーティー、海軍酒場、工場火事等高度経済成長期の盛況と波乱、難事にもへこたれない気概が描かれ娯楽映画の模範となるべき作品だ。更に、三木のり平、有島一郎、久保明、団令子、水野久美等が3人を支えた助演も見事だった。続篇は、小林と淡路恵子の行方が気になる。
佐藤克巳

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