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人間のyaaaのレビュー・感想・評価

人間(1962年製作の映画)
4.0
見よ!これが昭和の名優・殿山 泰司だ!
男前バージョンのタイちゃんが堪能できる作品。
殿山泰司主演映画2本のうちの1本。

船長・殿山泰司、乙羽信子、佐藤慶、山本圭(うわあ、なんと濃厚な)を乗せた荷役船が嵐で遭難して50日以上漂流する。食料は次第に底をつきお約束のあれが…

固定された空間を舞台に追い込まれた人々の人間性をあぶりだすおなじみの展開の映画だが、意外にも安く見えない水難アクションがあったりして楽しめる。船のへりにロープ一本でぶらさがる乙羽信子なんてこれでしか観られない!

殿山泰司は金毘羅さんを信望する船長で「金毘羅さんが助けてくれる」と皆を男前に先導していくが、今回下衆担当の乙羽信子、佐藤慶と反目してお約束のあれに突入してくのだが。
ちなみにお約束とは男三人が乙羽信子に襲い掛かるというのではない。

金毘羅さん(劇中ポップに登場する)という固有のものでなくある種の心の拠り所・希望を持っている船長が終始前向きに男前にどん底の中でも人間性を失わず対処していく様は、おそらく同じテーマであろうイーストウッドの「チェンジリング」を思い起こさせる。
イーストウッドの方が遥か後発ですけどね。
それが映画の中心線であるため、サバイバルだけの映画ではない。かといって、重苦しいまじめだけの作品でなくオーバー気味の表現や、暗がりに差し込む光など画づくりもムードあり、中だるみもしばしの休息といった趣で楽しめる映画である。

南方の記憶より突然現れる浜村淳もいけている。

船乗りの「めし」描写が細かくて、結構見入ってしまいます。
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