bluetokyo

張込みのbluetokyoのレビュー・感想・評価

張込み(1958年製作の映画)
3.2
刑事もの。話はシンプルだ。容疑者が行きそうなところを張り込みをして、容疑者がやって来たところを逮捕するだけである。ただ、その過程で、様々な人間ドラマが醸し出されるわけだ。張り込むのは、強盗殺人犯人の知り合いの女性。犯人はきっと、この女性のところに会いに来るはずだ、ということで張り込む。見張っているうちに、その女性が他人とは思えなくなってくるのが味噌である。うだるような暑い夏というのが、どろどろした人間関係を予兆しているようだ。

簡単にあらすじ。
警視庁捜査一課の刑事、下岡と柚木は、佐賀行きの列車に飛び乗った。強盗殺人事件の容疑者の知り合いの女の張り込みのためだ。

女の名前は横川さだ子。彼女の住む家を見渡せる旅館の一室を首尾よく借りることができた。さだ子の生活が丸見えなわけだが、強盗殺人犯人と関りを持つ女性とは思えないほどに、堅実でつつましい暮らしぶりであった。

ただ気になるのは、夫は一回りも年長で、愛情のような雰囲気が感じられないことだった。夫はまるでさだ子を女中のように扱うのだった。

1週間が経った。こりゃあ、見込み違いかな、犯罪の匂いがしないもの、などと言いながら、下岡と柚木は、帰り支度をするのだった。

と、そのとき、さだ子は出掛ける素振り。また、買物かな、とりあえず尾行だ、と柚木。ところが、さだ子は、いつもとは違う方へと歩きだし、バスに乗ったりする。
尾行していくと、ある温泉地へ。しかも、河原で、若い男と会っているではないか。よく見ると、間違いなく、強盗殺人事件の犯人、石井だった。

さだ子さんを助けなければ、と思ったら、二人はまるで夫婦のようだった。思わずひるんでしまう柚木。

それでも、二人が温泉宿に入ったところで、警察署に応援を頼み、一人でいる石井を逮捕するのだった。

石井が逮捕されたことを知らないで、やって来たさだ子に、柚木は、次の列車に乗れば、旦那が帰ってくる前に、自宅に着きますよ、と言ってやる。だが、さだ子は、泣き崩れるのであった。

柚木は、帰りの駅で、結婚を迷っている女性に、電報を打つのであった。結婚することに決めた、と。
さだ子と石井が、そのまま普通に結婚して家庭を持っていたなら、強盗殺人事件とは無縁だったかもしれない、ということかな。
bluetokyo

bluetokyo