無名のひと

夜の無名のひとのネタバレレビュー・内容・結末

(1961年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

作家のジョヴァンニとリディア夫妻は、病院に親友トマゾを見舞う。
トマゾは重い病に冒されており、死期は近い。
弱っているトマゾを見ていられないリディアは、早々に病院を後にする。
ジョヴァンニは、患者女性に誘われるままキスをして、ベッドになだれ込んだところを看護師に止められる。
帰宅せず、ふらふらと当て所もなく歩くリディア。
昔縁のあった場所にたどり着き、ジョヴァンニはかつてを懐かしむも、リディアの心には何の感慨もなかった。
その夜ふたりはナイトクラブに足を運ぶ。
ジョヴァンニはダンサーに魅了される一方、リディアはやはりなにも揺さぶられるものがない。
その後ふたりは資産家のパーティーへ参加する。
そこでもやはり、ジョヴァンニの傍らにリディアはなっく、ひとりふらふらと庭や邸宅内を歩き回っていた。
一方のジョヴァンニは、資産家の娘のバレンチナに惹かれる。
彼女のもまたジョヴァンニに惹かれていた。
しかし、幾度もキスはするものの、バレンチナはジョヴァンニに体は許さない。
トマゾの容態が気になったリディアが病院に連絡すると、彼は亡くなってしまったのだと知らされる。
トマゾはリディアを愛していた。
けれど親友の妻だからと決して恋を口にすることはなく、ただ愛を捧げていた。
リディアは、そこでやっと本当の愛を知るのだった。
ジョヴァンニがバレンチナとキスをしている姿を見かけても、リディアはなにも揺さぶられるものはなかった。
他の男とパーティー会場を離れてみてもそれは同じ。
朝を迎え、リディアは庭の片隅でジョヴァンニと再会する。
リディアは、トマゾの死と、もうジョヴァンニを愛していないことを伝える。
しかしジョヴァンニはリディアの愛を再び取り戻すと言う。
バッグから一通の手紙を取り出したリディアは、その場で朗読する。
誰からの手紙かと問うジョヴァンニだったが、それはかつてジョヴァンニ自身がリディアに書き送ったものだったのだ。
互いに愛はないのだとするリディアを押し倒すジョヴァンニに、リディアは「愛していないと言って」と告げる。
しかしジョヴァンニは無理矢理リディアの唇を奪うのだった。



リディアがふらふら当て所もなくさ迷うシーンがとても長い。
だれてしまって見るのをやめてしまおうかと思ったほど。
リディアが飛行機を飛ばしていて面白いと言うけど、ジョヴァンニはちっとも興味を示さない。
ジョヴァンニはかつてを懐かしむけど、リディアとの今は見ていないのだなと実感する描写だった。
リディアの我儘に振り回されても何を言うでもない。
新しいドレスに気づくでもない。
ナイトクラブのダンサーシーンも長かった。
こちらは見事で私まで魅了されたけど。
病院で患者にねだられたとはいえキスをしてベッドに押し倒した上に、バレンチナを抱きたがるジョヴァンニがどの口でリディアに愛を語るのか。
どんだけ広かろうが庭の片隅で押し倒すなど言語道断。
リディアがすぐ手紙を取り出したということは、彼女は大事にそれを持ち歩いていたということ。
ラストは強引なキスで終わったけど、その後ふたりがどうなったのかが気になる。
リディアは資産家の娘だというから、ジョヴァンニと離婚しても暮らしに困ることはないだろう。
ジョヴァンニからの強引なキスのように、ねじ伏せられて婚姻生活を継続するのか。
意思の強いリディアのことだから、ジョヴァンニと離れることを決断するのか。
たった一夜でなにもかも変わってしまった。
愛のないことに気づいてしまった。
行間をうまく読めなかったので、映画本来の良さを理解しきれなかった。
ジョヴァンニ役のマルチェロ・マストロヤンニは、モテるのも納得の渋かっこよさがあった。
バレンチナ役のモニカ・ヴィッティもとてもきれいだった。
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