このレビューはネタバレを含みます
全体を通して、最後に「伏線を回収しているっぽい」ので、あと3回は見ます。
ここまで意味の分からない映画は初めて見ました。全てに意味があるのに意味が分からない。分かりかけた所で、唐突に突き放される作品。
ただ、傑作です。
ダイアンの見る空想の世界
リタとの同化を望み、自らの死を選ぶ結果となるが、残るのは夢半ばに散った女優の卵でしかない。
現実の残酷性と白昼夢の様な浮遊感のある映像。現実との乖離が進むも、自責によって度々引き戻される。感覚的な要素が見事に映像化されている点が、デビット・リンチの才能を物語っている。
ファミレスの裏に潜む謎の人物はダイアンの自責の念であり、そこから放たれた老夫婦たちの嘲笑が響く。
愛する人を殺めてしまった焦燥、あらゆる抽象が具現化され、見ている者の心を掴んで離さない。
妙に現実的な夢を見ている、そんな錯覚を覚える怪作。