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マルホランド・ドライブのYのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
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【苦しみの描き方】

『ツイン・ピークス』でも、女の子の幻覚と現実が描かれていたが、かなり難解だった印象。

『ツイン・ピークス』は、ほぼPVかというほどのブツ切りの映像のつぎはぎで、理解し難いのにローラの苦しみはしっかりと伝わってくるような作品。しかし今作は、「現実」との対比である「夢」の中にしっかりとした流れが存在する。

それも冒頭から夢の中であり、作中の八割が夢であるという斬新な構成で、最後まで観た時のショックは計り知れない。

今作の『夢』の描写はベティの理想ではあるが、その映像の中に時折登場するベティ自身の強迫観念や不安が気持ち悪い緊張感をもたらす。

夢の中でさえ断ち切れず、無意識下でも異様な存在感を放つ厳烈な現実がこれでもかと追いかけてくる。
精神的にものすごく疲れているときに見る夢と同等の鑑賞感だった。

デビッド・リンチ監督に精神的苦しみを描かせたら右に出るものはいない。
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