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マルホランド・ドライブのinuinusagiのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
4.3

凄く不安な気持ちになる。同時になんか凄い安心の中にも突き落とされる。次に謎の懐かしさに長いあいだ浸されて、そして突然恐怖のなかにほっぽりだされる。すべての風景に生き物のような生々しさがあり得体の知れない変化の可能性を秘めながら息を殺している
時々何かが確かにひっかかるんだけどそれを言葉として組み立てることに困難を感じ、感じているまにぜんぶの物事は致命的に移動していく。

何を言ってるんだろう?
とにかくマルホランドドライブの感想を書こうと思うとあの世界観に没入したときの皮膚感覚のようなものだけが思い起こされる。ナオミワッツの体の線がきれい、とかアダムかっこいいとかもちろんそういうのもある。ただ、あの沈黙でぶわぶわ膨張しているような映像の空気感になぜ自分は親密感を覚えるんだろう?とか。物語は夢と現実が複雑に絡み合い反転し一体どこまで夢で何が現実なのか判別出来なくなっていくがその謎の懐かしさに満ちた不明瞭さと影のようについてまわる何かの象徴としての圧倒的な違和感にじーと見張られながらウロウロと迷子のようにあてども無く彷徨しているかのような気分は不思議な安らかさがあり、繰り返し見てしまう魅力ある映画
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