パイカルは美味しいのか

U・ボートのパイカルは美味しいのかのレビュー・感想・評価

U・ボート(1981年製作の映画)
4.4
なぜ人は映画を観るの?

色々理由があるに決まってますが、
「単に楽しみたいから」
そりゃそうです。素晴らしいこと。

その中で、「自分には絶対出来無いことが疑似体験出来る」
という人も結構いると思います。

体験したいカテゴリーは人によって異なりますが、この作品「Uボート」の疑似体験は、かなり濃いです。
未鑑賞の方には、ぜひ体験して欲しいですが、こんな作品(かも知れません)。

◼自分はいきなり3時間半のディレクターズカット版を鑑賞。リスク全開の超絶長さですが、幸いにも自分はセーフ。
とても面白かったです。

◼まず、先が全く読めません。
潜水艦の話ですが、この船は強いのか、弱いのか。敵をメチャメチャ撃沈するのか、それともしないのか。そして、この先いったいどうなるのか。
戸惑います。そういう意味では、よく見るハリウッドフォーマットでは無い、と断言出来ます。

◼閉所恐怖症の方はごめんなさい!
いざ、潜水艦に乗るシーン。
狭いいいいいー!
ホントに超狭い。
この激狭さの中で行われる、3時間半、こりゃ絶対に耐えられん。観れんわ…

…観れました。人間って、凄いですね。観てるうちに馴れます。

◼臭い
私はナチスにも、当時、戦争に突入させた日本の軍部にも、1mmも共感しませんが、祖国のために現場で戦った先輩達はリスペクト致します。
トイレは1室。湯船もない狭く劣悪な環境で、何十日も任務に従事。
劇中でもふれてますが、この環境、臭くない訳がありません。シラミも鋭意活躍してます。そんな生活感は満載。疑似体験にもってこいでしょ。

◼女子はたぶん無理。
大半の女性の方にとっては、本作品は面白く無いと思います。うちの嫁さんは、ひとめ観てから一瞬で、どっかに行っちゃいました。
フッ、所詮、最前線の過酷な仕事は、漢にしか判らねえのよ…
(今や女性も潜水艦勤務? だったらすみません…)

◼音楽最高
自分がこの作品を観たきっかけです。
大昔の「ねるとん紅鯨団」のエンディングで流れた勇猛な曲。しかも聴き心地良い…今も他の番組でかかったりしますが、いったい何の曲…この作品なのね!

◼最後に
前述の過酷な環境で、皆さん仕事してます。なんだかんだ言っても仕事してます。疑似体験と言いましたが、実際に似たような現実があったと思うと、やはり先輩方にリスペクトしてしまいます。舞台が狭いんで、生活感はダダ漏れ。汗と機械とお皿の汚れ。
だけど、映画的にいえば、この狭さが逆に魅力なのでしょう。狭いからこそ、判ることが必ずあるんです。
例えば、
そんな中で行われる食事シーン。

なんか、とっても美味しそうですよ。

今の生活のありがたみを感じずにはいられません。